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偽東京カレンダー

東京カレンダーに憧れる、田舎者。

体育会系大手企業サラリーマン。マサキの週末

気がつくと時計の針は22時を回っていた。


日本酒、ハイボール、ワイン。

ちゃんぽんをしたからなのか。かなり酔いが回っている。

 

相手が昨日のコンパで出会ったオンナなら、店を出て手を繋いでタクシーを止めて、キスをして、そして-


なんていうことをしていたけれども。

今日のマサキはそんなことはしない。

いや、単純にできないのだ。

 

ユウコは26歳。

明るい笑顔と、気さくな人柄で人気がある。ものすごい美人というよりは可愛らしいタイプだ。
少なくともマサシが曲がりなりにも人生で一番好きだった相手だ。

-酔わせて、それとなく淡い言葉を囁き、一夜を共にする。-


彼女に求めるのはそんな軽薄なことではない。


同じ思い出で笑い、

仕事の愚痴を聞き、

少しセンチメンタルな話でグッと来てみたり。

そんな時は、自分もまともな男なんだなと思える瞬間。

 

彼女がトイレに行ってる間に会計を済ませる。

「これができる男の嗜みだ」

と昔コラムで読んでからずっと実践をしてる。


会計は17000円。2人の割には結構飲んでいる。

 

「もう一件行くか」 


2件目に向かう為にタクシーに乗る。


「タクシー代は絶対払わせて!」


麻布十番から広尾なんてたかが知れてるが、そんな姿勢を意外に男は見ている。


別にお金が欲しいわけではない。

奢られた時の反応を見ているだけだ。

 

ある意味、オンナを試している。

その裏でオトコも同じように試されているのだが。

 

広尾の有名ベーカリー店にはいる。

ここは深夜の3時までやっていて、料理も美味しいし、雰囲気もいい。


朝は早くからモーニング、ランチとそれぞれ違う顔を見せながら人気を博している。
芸能人なんかも御用達の店だ。

 

マッカラン12年ソーダ割で」

「あっそれ2つで」

 

パパッと注文を終えると、カウンターで膝が触れ合っていた。
少し酔っていたが、タクシーでも手が触れる瞬間があった。


オトナの関係を求めるのであれば、テンションもそれなりに上がるのだが、これからの展開をどうして行きたいか判然としていない今、

 

ドギマギしてしまうのが本音だ。

 

チャラいふりをしていた方がずっと楽だ。


チャラ男がモテるのは、本音を隠し、一番簡単に女性を落とすセリフを吟味し、その役を演じられるからなのだ。


でも、今の自分はそんなことをして目の前のオンナを口説きたいわけではない。
というか、口説きたいのかもわからない。

 

寂しいから飲んでるのか。それとも、何かを求めているのか。

 

 

思い返せば1ヶ月前。

ユウコから急に夜にLINEが来たのがキッカケだ。

 

「あの彼氏と別れちゃった」

 

別に大した理由はなかったのだが、それを未読にしたまま、朝にLINEを返した。


「憂さ晴らしに飲みにいくか」

 

5分後にスタンプが来た。

 


ウサギがジョッキを持ってはしゃいでる滑稽なそれだ。

 

続く