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偽東京カレンダー

東京カレンダーに憧れる、田舎者。

29歳独身女。逆転満塁ホームランとその考察

成功の反対は、失敗では無い。 

 

挑戦をしないことだ。

 

挑戦し続ける。1つ、2つ失敗を積み重ねる。そんなの痛くも痒くも無い。


これが東京で、六本木で遊ぶ20代のオンナたちの強さである。

 

 

なぜならば、彼女達は挑戦し続けている。
故に失敗をする。

 

挑戦は、成功に近い言葉だ。失敗もまた然り。だから、彼女達は美しい。魅力的だ。

 

 

男女雇用機会均等法。女性の働く環境は、昔より遥かに、改善され、キャリアへの意識は高まる。

 

 

だけど、いつの時代でも若い女性は男を魅了し、その魅力で富を動かす。


それを彼女達は理解している。

 

そして、ある日突然。
結婚という保険を手に入れるものがでてくる。

 

彼女達は知っている若さの魅力を。

 

そして、儚く、短い、ソメイヨシノのような一瞬の輝きであることを。

 

 

 

29歳。
野球で言ったら9回2アウト、ランナー無し。3点差で負けている。こんな状況だ。

 

冒頭の言葉に戻ろう。
堅実な人生を送った女性を、失敗しない女と呼ぶのであれば、空振りを恐れてバットを振らなかったことを指すのだろう。


9回2アウトランナー無し。こんな状況に、きっとめっぽう弱い。

 

 

挑戦をし続けた人生を送った女性を、失敗続きの女と呼ぶのであれば、空振りを恐れず自らの若さに任せてバットを振り続けたことを指すのだろう。


9回2アウトランナー無し。

何か奇跡を起こせそうな気がする。

 

なにせ、普通のことをしても負けは見えている。

 

 

そこの貴方達。
朝二日酔いで、目覚めて、知らない男が横で寝ていても後悔することはない。だけど反省はした方がいい。

 

なぜなら、絶対絶命のピンチで逆転満塁ホームランを打てるのは貴方なのだから。

 

 

サキ。29歳。
父親は横浜の一等地に住む自営業。弟と母親、近くに住む祖母との五人家族。


中高一貫校の女子校育ち。中学の途中から歯車が壊れたかのように成績が落ちた。

 

タバコも吸ったし、昼間は勉強より男と遊ぶ方が楽しかった。

 

大学は、いわゆるMARCHに入った。


サークルにはいり、それなりに遊んだ。
理系の学部ということもあり、モサっとした男子に囲まれた。

 

レゲエシンガーのカズ、花屋を目指したユウジ、社会人のヨシト。どれも良い思い出だ。


社会人になってからも、ユウジとは東横線武蔵小杉駅近くのアパートで同棲をしていた。

 

 

それでも、彼女もまた六本木で夜な夜な挑戦を続けた美しき戦士なのだ。

 

 

高校の頃の女友達が色々なところに散ったのはラッキーだった。彼女達は、色々な学歴、職種に進んだのだ。

 

 

名門中高一貫女子校。
国公立、早慶、女子大、MARCH。文系理系。


何せ彼女達はまだ若い。


男達のパイプを得るには十分すぎるネットワークが構築されている。

 

そして、何よりもよく酒を飲む。酒に飲まれる。  


「若気の至り」

 

お高く止まるよりずっと成功に近づけてくれるマジカルワードだ。

 

続く

29歳独身女。逆転満塁ホームランとその考察

女にガールズトークがあるならば、男にもボーイズトークがある。


はっきり言ってしまえば、女のそれよりはずっと明快で、ある意味低俗だ。だけど、それが楽しい。


クズ男=尊敬に値する男。

 

これが2つのトークの中で最も異なる部分だ。

無論、その方程式が成り立つのはボーイズトークの中でのみだが。

 

広尾にある有名名門大学の一貫小学部。
芸能人、有名企業の幹部、医者の子供が集まる。

小学校から大学まで成長を共にする。

 

そして卒業後も社会の重要なピースとしてお互いの関係を大切にし続ける。

トマピケティの21世紀の資本の中にあるように、金持ちは一生金持ちなのだと、実体験できる。

そんな滑稽で、快活で、品のある馬鹿達だ。

 

彼らもまた大学卒業後、港区で酒に興じる。

 

最も下世話な話ボーイズトークは、最も高貴な教育体制の中育った彼らだから、なせる技なのかもしれない。


男には男の都合がある。

女が、男を品定めするように、

男も女を、女のそれと同様に残酷にそして卑猥に評価をしている。

 

品の良い、ボンボンの興味は昨日抱いた女か、次のアナウンサーとのバーベキューの予定だ。

 

そんな彼らも女性を図る物差しを変える話題がある。

 

そう、結婚相手だ。
結婚となれば、それは、顔や、スタイルではない。

 

彼らが最後に重視するのは「育ち」だ。


結婚は好きになった男女が趣味でするものではない。

 

どんなに愛が深かろうと、

結婚は家と家を結ぶ儀式であり、

人間が子孫繁栄をする為の1つの仕組み作りなのだ。

 

だから、ロミオとジュリエットは悲劇であって当然だ。一家にしてみれば良い迷惑なわけだ。

 

結婚は愛の結晶ではなく、両家の繁栄への覚悟なんだと思う。


だから、両親が納得してるというのは結構重要な要素になる。


両親に反対され、悲しくなったり、辛くなったりするが、それは一時的なもので、長い目でみれば英断なわけだ。

 

そんな彼らから面白い話を聞いた。
大逆転の駒田女だ。
野球好きにしかピンとこないが、現役時代の駒田のあだ名は「満塁男」。巨人横浜と渡り歩いたお祭り男だ。

 

麻布十番祭りで大逆転を成し遂げた女がいた。

 

いわゆるMARCH出身の派遣女子だ。
29歳で大手商社マン、東大卒をゲットした。


9回裏2アウトランナー無し。点差は3点。最後は逆転満塁サヨナラホームランだ。

 

勝ちに不思議の勝ちはあっても、負けに不思議の負けなし。
ID野球野村克也氏の言葉だ。

 

結婚には、必然はあっても偶然はない。
ただ、偶然を限りなく必然に近づける方法はある。

 

あとは、環境だ。
この環境がいわゆる「育ち」だ。

 

崖っぷち女の逆転満塁ホームラン。大逆転のその秘策を教えよう。

体育会系大手企業サラリーマン。マサキの週末

時計をふと一瞥する。

0時30分。

 

最近はまっているのは、健康的でリッチな生活だ。


1時まで。

 

そうあと30分の男版シンデレラだ。

 

 

人生にはそもそも正解がない。
だから、今帰っても、はたまた帰らず次に行っても間違いではない。
大切なのはその行動を正しいと思う勇気を持てるかどうかなのだ。

 

 

自分で言うのも変だが、それなりに女性経験があるし、トークも苦手ではない。

それなりに場を盛り上げ、ロマンチックな雰囲気を作り、相手が一夜だけならその勇気も持てるのだが。


今夜はどうも調子が悪い。

いや、調子は悪くない。

 

いつもより段取りよくデートも運べている。

タクシーもタイミングよく捕まり、2軒目のお洒落なバーも予約している。

 

女性からのポイントは高いはず。


大手企業の若手が学ぶ飲み会の

「段取り」

はデートや合コンで最も活きる。その逆も然りなのだが。

 

だけど。

今日は何か歯車が噛み合わない。

 

多分「もう一件行こう」とか、言っても二つ返事で良い答えが返ってくる。

 

それでも、マサキは自ら痺れを切らせて言ってしまった。


「今日は帰ろうか」

 

「2次会はワリカンで!」

元気よく言う彼女だが、財布の中は3000円。
かくいう、マサキ自身も2000円。
会計はなんだかんだで19000円。


「じゃあ」

と言って、3000円だけ受け取り、残りはマサキがカードで払った。
カードのサインは筆記体の英語で書いてみた。

カードの裏には漢字で書かれたサインがある。

 

漢字で書くのは、父の教えだ。
英語で書くと、サインを真似されて海外で不正利用されるから漢字にしなさいという教えだったが、今時そんなこと関係ないと思う。


普段はそんな教えを守っているが、今日は小さく約款違反をしてみた。

 

 

「常連はこっちのエレベーターで通されるんだ」


得意げに言ってみる。


「また、大人ぶってる」


小悪魔のような可憐な笑顔でユウコがマサキの顔を覗き込む。

 

そんなやりとりがじれったい。

 

 

タクシーに乗る前に肩を抱き寄せて、キスをして、

 

「またね」

 

なんていつもだったら言えるのだが。


今日は、タクシーを止めてあげるのが精一杯だった。

 

彼女を見送り、足早に六本木に向かう。


いつもの仲間のいる店に行こうか。LINEをチェックしてみる。

 

やっぱりあの店にみんないるみたいだ。

 

LINEの通知が来た。

 

ユウコからだ。


「今日は本当にありがとう!また絶対飲み行こうね。来月末は時間がありそうだから、今度は、人形町の日本酒の店に行こうね!」

 

「こちらこそ!また行こうねー。飲み過ぎたから気をつけて!」


その後になれない手つきで、

ウサギがジョッキを持った滑稽なそれをあの日の彼女と同じように送っていた。

 

六本木に向かっていた足を止め、

踵を返しタクシーを拾った。


「目黒まで」

 

誰もいない行き先を告げ、グループLINEを閉じた。

 

淡い恋心なのか、はたまた懐かしさからくるセンチメンタルな気分なのか。


こんな気持ちは久しぶりだ。

苦しいけど楽しい。

 

世の中わかったフリするのが、社会人4年目。一周回って分からなくなるのが5年目。

その深みにハマるのが6年目。


深みも悪くないと思えた、そんな土曜日。


時計の針は1時30分をまわっていた。


「明日は、少し寝坊しよう。」

 

シャワーを浴びて、歯を磨いて、寝る前のふとした時間。

 


そんな風に思った。

 

体育会系大手企業サラリーマン。マサキの週末

気がつくと時計の針は22時を回っていた。


日本酒、ハイボール、ワイン。

ちゃんぽんをしたからなのか。かなり酔いが回っている。

 

相手が昨日のコンパで出会ったオンナなら、店を出て手を繋いでタクシーを止めて、キスをして、そして-


なんていうことをしていたけれども。

今日のマサキはそんなことはしない。

いや、単純にできないのだ。

 

ユウコは26歳。

明るい笑顔と、気さくな人柄で人気がある。ものすごい美人というよりは可愛らしいタイプだ。
少なくともマサシが曲がりなりにも人生で一番好きだった相手だ。

-酔わせて、それとなく淡い言葉を囁き、一夜を共にする。-


彼女に求めるのはそんな軽薄なことではない。


同じ思い出で笑い、

仕事の愚痴を聞き、

少しセンチメンタルな話でグッと来てみたり。

そんな時は、自分もまともな男なんだなと思える瞬間。

 

彼女がトイレに行ってる間に会計を済ませる。

「これができる男の嗜みだ」

と昔コラムで読んでからずっと実践をしてる。


会計は17000円。2人の割には結構飲んでいる。

 

「もう一件行くか」 


2件目に向かう為にタクシーに乗る。


「タクシー代は絶対払わせて!」


麻布十番から広尾なんてたかが知れてるが、そんな姿勢を意外に男は見ている。


別にお金が欲しいわけではない。

奢られた時の反応を見ているだけだ。

 

ある意味、オンナを試している。

その裏でオトコも同じように試されているのだが。

 

広尾の有名ベーカリー店にはいる。

ここは深夜の3時までやっていて、料理も美味しいし、雰囲気もいい。


朝は早くからモーニング、ランチとそれぞれ違う顔を見せながら人気を博している。
芸能人なんかも御用達の店だ。

 

マッカラン12年ソーダ割で」

「あっそれ2つで」

 

パパッと注文を終えると、カウンターで膝が触れ合っていた。
少し酔っていたが、タクシーでも手が触れる瞬間があった。


オトナの関係を求めるのであれば、テンションもそれなりに上がるのだが、これからの展開をどうして行きたいか判然としていない今、

 

ドギマギしてしまうのが本音だ。

 

チャラいふりをしていた方がずっと楽だ。


チャラ男がモテるのは、本音を隠し、一番簡単に女性を落とすセリフを吟味し、その役を演じられるからなのだ。


でも、今の自分はそんなことをして目の前のオンナを口説きたいわけではない。
というか、口説きたいのかもわからない。

 

寂しいから飲んでるのか。それとも、何かを求めているのか。

 

 

思い返せば1ヶ月前。

ユウコから急に夜にLINEが来たのがキッカケだ。

 

「あの彼氏と別れちゃった」

 

別に大した理由はなかったのだが、それを未読にしたまま、朝にLINEを返した。


「憂さ晴らしに飲みにいくか」

 

5分後にスタンプが来た。

 


ウサギがジョッキを持ってはしゃいでる滑稽なそれだ。

 

続く

体育会系大手企業サラリーマン。マサキの週末

LINEの通知のバイブで目を覚ます。
時計は11時15分。

 

「またやった。」

 

土曜日の朝はいつもこうだ。

昨日の接待の飲みすぎによる二日酔い。寝ぼけ眼でスマホを見る。

 

LINEの未読は14件。その内の半分は社会人アメフトチームのグループLINEのやりとりだ。内容は「来週の結婚式の余興」について。

 

残り半分は酔って電話をしたオンナたちからの乾いた返事。


「ごめーん。寝てたー」

「おはよ。気づかなかったー」

「そんな時間寝てます笑」


土曜日のお決まりのパターンだ。


酔って電話をするのが癖なのだ。

中には甘い言葉を囁き、恋仲に発展してる事もある。

 

いわゆる酒に飲まれる、女好き、寂しがりやのダメ男だ。

 

28歳にもなると、家庭を持って落ち着く仲間も増える。


Facebookとインスタグラムにはお決まりの友人がお決まりの子供との楽しい時間アピールをしている。

 

マサキに結婚願望はない。だけど、なぜか虚無感に包まれるいつもと変わらない土曜日。

 

モテないかと言われれば、そうではない。
それなりに、言いよってくる女性もいるし、定期的に飲みに行く関係のオンナもいる。
28歳、独身、大手企業、六大学の名門体育会系。響きだけは、心地よい。

 

響きだけは。

 

これがマサキを悩ますポイントなのだ。
響きだけなはずのに、やたらその社会性が気になる。

成功者の振る舞いをしたいだけの薄っぺらい若者なのだ。

 

自分に必要なのは

高学歴で容姿端麗で外資系企業に勤める才色兼備の読者モデルとか、

キー局のアナウンサーとかだと決めつけている。

 

響きを彩る美しい女性が欲しいだけなのだ。

 

そんなマサキも、最近はまっている事がある。


呑んだくれていた社会人なりたてのあの頃とは違い、

土曜日は美味しい料理と、美味しい酒を嗜み、1時には寝る。日曜は朝からジムに行き、読書をし、自分を磨く。


こんな当たり前で健康的でリッチな生活だ。

 

大手企業に入って浮かれてたあの頃は、かなり無茶して遊んでた。

「そんなバカをできる仲間が減っただけ。」と言われればそうなのかもしれない。

 

「おれも最近落ち着いちゃってさ。」なんて言ってみたりしてる。口癖のように。

 

だけど、今日はいつもと様子が違う。

18時30分にはシャワーを浴び、歯を磨き、ワックスで髪の毛を整え、香水をふりかけている。

 

予約は19時30分。麻布十番の和食創作料理だ。遅れて、忙しいアピールはもはや中二病に近いと思える年頃だ。


今日は昔の彼女、ユウコとの食事だ。
大学の時に付き合ってた、元カノだ。

 

少し大人びてるけど、背伸びをしてる感じでも、無理をしてる感じでもない。


それが28歳。

 

自信もそれなりにあるし、財布も決して寒くはない。


今日はどんな夜になるのだろうか。というよりは自分はこのオンナをどうしたいのだろうか。


そんな自問自答を繰り返しながら、

 

「八海山2合、おちょこ2つで」

 

と店員に告げる自分を少し滑稽に思った。

 

続く